10 Jul ナッシュビル Nashville ロバート・アルトマン監督の傑作
ナッシュビルというのは、カントリーミュージックのメッカとして有名。ここを舞台に、大統領候補選挙をバックグランドにし、総勢24人の人間ドラマが繰り広げられるストーリー。群集ドラマに天才的な監督ぶりを発揮するアルトマンならではの映画。
このような脚本を書いた人の頭の中をのぞいてみたいと思いました。24人もの登場人物に、それぞれ平等にシーンを作り、くっきりとそれぞれの人格を描く。それも約2時間の長尺で。至難の技ですよね。
大統領候補の人間は姿を見せないのですが、それを取り巻く人間の駆け引き、すでに人気の歌手、あるいは歌手を夢見る者、マネージャー、ジャーナリストなど、いろいろなドラマが交錯し、アルトマンは自由自在にストーリーを編んでいきます。最後には、暗殺者も。うまく言えないんですが、あぶり出てくるのはアメリカの縮図のようなもの。
主要人物がこれだけ多いと、だれがどうとかこうとか言えないです。いきおい誰が一番印象に残ったかになると思うんですが、個人的にはリリー・トムリン。ずっと後で、ジェーン・フォンダ、ドリー・パートンと組んで大ヒットしたコメディ「9時から5時まで」のあのおばさんです。ここでは身障者の子供を抱える明るい母親役ですが、女たらしのシンガー、キース・キャラダインに思いを寄せられる女心の揺れを、見事に表現していたと思います(オスカー助演賞にノミネート)。外人にしてはのっぺりした容貌で、お世辞にも美人とはいえないですが、一味違うアクトレスです。
とにかく、アルトマン監督の技に感服する傑作。
85点
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